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修学旅行 県外→県内 広島市の公立中3 半数切り替え 仲間と思い出 近くても

 新型コロナウイルス禍のあおりで、「県外が当たり前」だった中学校の修学旅行に異変が起きている。広島市内では、公立中のほぼ半数が今の3年生の修学旅行を県内に切り替えた。学校行事の相次ぐ中止・縮小にもどかしさを募らせていた生徒にとっては、県内であっても、仲間と旅ができるだけで心躍る体験となっているようだ。(馬場洋太)

 6度の行き先変更や延期を繰り返し、10月中旬に1泊2日で県内を巡ったのは佐伯区の五日市中。初日は平和記念公園(中区)や宮島(廿日市市)を訪れ、宮島対岸のホテルに宿泊。2日目は福山市の遊園地「みろくの里」を満喫した。

 「ほんとに県内なん?」。生徒から漏れたそんな不満は、旅に出ると吹き飛んだ。天野千絵さん(15)は「宮島で家族だと行かないおしゃれなカフェに行けた。布団に入ってからも友達とおしゃべりできた」と笑顔をみせる。

 市教委によると、市内の公立中は例年、中2のうちに修学旅行に出掛ける。だが、いまの中3で、中2のうちに旅行できたのは63校中16校だけ。行き先も感染拡大の早かった関西を避け、九州や四国、広島県内に切り替えた。

 3年生になってからも、旅行の日程が緊急事態宣言と重なった学校は延期や行き先変更を強いられ、中止リスクの低い県内に変更するケースが続出。結果的に、11月までに実施する53校のうち、過半数の28校が県内を選んだ。

 県内旅行には、意外な利点もあるという。五日市中の大槻隆子教諭は「旅程がゆったりと組め、寝不足で頭痛になる子がいなかった」。遊園地のアトラクションも待たずに乗れ、生徒たちは「先生たちを誘って一緒に楽しめた」と喜ぶ。

 一方、日程変更後のホテル予約が難しいなどの理由で、2日間に分けて日帰りで県内を巡った学校も。感染状況が厳しいとみて、9月ごろまでに中止を決定した学校も10校に上った。

(2021年11月8日朝刊掲載)

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