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最初の要請で6校閉架せず ゲン閲覧で松江の小学校 2度目「強制」と認識

 松江市教委による漫画「はだしのゲン」の閲覧制限問題で、図書館の本棚に置かない閉架扱いとした小学校28校のうち、少なくとも6校が最初の要請では閉架しなかったのに、2度目の要請で閉架に切り替えていたことが26日、中国新聞の取材で分かった。(明知隼二、樋口浩二、秋吉正哉)

 学校側が、市教委の昨年12月17日とことし1月の2度にわたる要請を重く受け止めたことがあらためて浮き彫りになった。

 市教委が20日に集計したアンケートによると、市内の小学校33校のうち29校が「ゲン」を所蔵。うち28校が市教委の2度の要請を受け、閉架扱いとした。

 ある小学校では、1度目の要請の際には教員と相談して閉架しないことを決めたが、校長は「全校足並みをそろえるようにとの2度目の要請を受け閉架とした」と、学校現場が要請を「強制」と受け止めたことを明かす。

 「学校現場の自主性を重んじたとの意味で妥当な判断だ。平和の尊さを伝える貴重な作品で、閲覧を制限する必要はないと思う」と要請撤回を歓迎した。

 最初の要請で応じた別の小学校長は「学校側が意見を言う機会はなかった」。同校の司書も「校長の指示で閉架にした」と、学校や学校図書館の現場を含めた議論不足をあらためて指摘した。

 一方、要請前から独自の判断で閉架としていた別の小学校長は「低学年の児童には、戦争の複雑な背景が伝わるか心配」と理由を説明。平和学習の際には書庫から出して活用しており、要請撤回後も「直ちに開架にする予定はない」としている。

(2013年8月27日朝刊掲載)

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