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島根県内の市長は意見割れる ゲン閲覧 制限に反対や一定の理解

 「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請した松江市教委の対応について、県内の市長からは疑問視する声が出る一方で、一定の理解を示す見解もあり、意見が分かれた。

 閲覧制限について、安来市の近藤宏樹市長は「個人的には反対」と明言。「ゲンは戦争の悲惨さを伝えるいい資料。表現の過激さというマイナス面より、悲惨さを子どもたちに伝えるメリットの方がはるかに大きい」とした。

 出雲市の長岡秀人市長も「平和学習の教材として定着しており、制限するのはいかがなものか」と疑問視。閲覧制限に「誰が見ても良くない図書なら規制もやむを得ないと思うが、それ以外は、むやみに制するべきでない」と述べた。

 一方、益田市の山本浩章市長は「戦争の悲惨さを伝えることは重要だが、表現があまりにも過激では、子どもにとって悪い面もある」と述べた。松江市教委の要請について「表現の自由を最大限に考慮する一方で、教育的配慮があってしかるべきだ」と一定の理解を示し、下村博文文部科学相の「違法性はない」という見解にも「問題ない」とした。

 浜田市の宇津徹男市長は「教材として使われるべき漫画。だが他市教委の考えに発言することは遠慮したい」。江津市の田中増次市長は「各市教委が独自性を持ってやっているので、とやかく言うことはない」と、ともに明言を避けた。

 松江市の松浦正敬市長は26日、教育委員会議の結論を受けて「市教委内で手続きに不備があったことは否めない。出された結論は尊重したい」とコメントした。(土井誠一、石川昌義、森田晃司)

(2013年8月27日朝刊掲載)

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