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舟入高 「市女」の8・6伝える 校内で写真展 献花会を取材

 舟入高(広島市中区)の生徒たちが、前身校の広島市立第一高等女学校(市女)の原爆被害を伝える写真展を校内で開いている。写真部と新聞文芸部の部員が、8月6日に市女慰霊碑前であった献花会を取材し、紹介。同校では被爆証言を記録する活動が20年余り途絶えていたが、今回「復活」させた。

 折り鶴がささげられた慰霊碑などを捉えた12枚と、記事や感想文6本を12日まで掲示している。1、2年生の部員6人が高齢の参列者や在校生にインタビューし、写真を撮影した。

 姉を失った遺族を取材した1年の川本心遥さん(16)は「今でも苦しんでいる人がいる。私たちが忘れるわけにはいかないと強く感じた」と話す。1年の宮本優さん(15)は「市内の学校で最も多い676人が犠牲になっていたとは自分も知らなかった。写真展をきっかけに、来年は参列者が増えてほしい」と願う。

 同校では、社会問題研究部(社問研)が1984年から毎年、市女の卒業生と遺族から証言を聞いて冊子にしていた。99年度の廃部まで「少しでも多くの人に被爆体験を伺(うかが)い、後世へ伝えていこう」と「行動提起」を掲げていたことを本紙連載で再認識した顧問の下田かおり教諭(55)が、生徒たちに提案した。

 80~90年代に社問研の顧問を務め、生徒たちの取材にも協力した元教諭の佐藤秀之さん(77)=南区=は「これからもぜひ続けてほしい」と期待を寄せている。(桑島美帆)

(2021年11月10日朝刊掲載)

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