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被服支廠 来年度に方向性 県有識者懇 児童公園推す声も

 広島県は10日、広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の利活用策を考える有識者懇談会の初会合を南区で開いた。主要なコア委員8人のうち6人が出席。子どもたちが遊びながら建物の歴史を学べる児童公園を推す意見などが出た。

 委員は現地を視察した後に集まり、近畿大の岡田昌彰教授(景観工学)を会長に選んだ。県所有3棟を議論の対象とし、本年度中にさらに2回、来年度に3回の会合を開催。来年度末までに「活用の方向性」をまとめ、それを基に県、広島市、国で最終的な活用策を検討する流れを確認した。

 自由意見の交換では、福屋八丁堀本店(中区)の屋上改装などを手掛けた建築家の安部良さんが「建物の周りが緑化され、児童公園として子育て世代が集い、歴史的な建物が日常生活で使われればいい」と提案した。ほかに「あのスケールは残したい」「街の魅力向上につながればいい」「被爆と広島の戦後を象徴した姿として残さなければならない」との声が出た。

 岡田会長は終了後、被爆関連での活用について「非常に重要な歴史の一部だが、そこだけに絞ってしまうともったいない。うまくバランスを取りたい」との見解を示した。次回は12月か来年1月に開く予定という。(河野揚)

(2021年11月11日朝刊掲載)

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