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ゲン閲覧制限、識者5人全員が問題視 松江市教育委員会議で触れず

 松江市教委が漫画「はだしのゲン」閲覧制限を小中学校に要請していた問題で、要請を撤回した26日の教育委員会議を前に、市教委が意見を求めた有識者5人は、いずれも「表現の自由」や「図書館の自由」に触れ、要請を問題視していたことが分かった。

 教育委員(5人)が示した結論は、手続きを問題視し、図書を扱う上での理念に触れることはなかった。

 市教委事務局が22、23日、5人の有識者に電話で意見を聞き取り、26日の教育委員会議に示した。

 島根県立大短期大学部の石井大輔講師は、市教委の要請について「校長が強制力を感じたなら問題で、図書館の自由宣言に触れる」と指摘。学校現場が判断し、制限の事実や理由を周知することが重要とした。

 公立図書館の職員や元職員3人からは「図書が基本的人権に抵触しない限り閲覧制限はできない」「表現の自由や知る権利には神経質になるべきだ。制限すべきでなかった」などの意見があった。

 別の短大教授は「図書の扱いは学校図書館が判断するという原則が徹底されていない。校長は(要請に対し)毅然(きぜん)と対応してほしかった」と、学校現場の対応にも注文を付けた。(明知隼二)

(2013年8月28日朝刊掲載)

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