×

ニュース

宇野千代慕い「仲良し自負」 反核へ行動「被爆者の励み」 中国地方で惜しむ声

 瀬戸内寂聴さんの訃報が届いた11日、中国地方ゆかりの人々から惜しむ声が相次いだ。

 瀬戸内さんは岩国市出身の宇野千代を女性作家の先輩として慕い、幾度も岩国を訪れた。1996年の千代の没後、市内の浄土真宗本願寺派教蓮寺に墓が建立されると真っ先に墓参りをした。藤谷光信前住職(84)は「千代さんと一番の仲良しを自負し、作家としての歩みを重ねておられた。お浄土で再会し、2人で仲良く大笑いされると思う」としのんだ。

 「信仰も創作もぶれずに両立させていた。すてきな姿で、自分もそうありたいと思っていた」と語るのは大竹市の同派大龍寺の僧侶でシンガー・ソングライターの二階堂和美さん(47)。「今後生きていく上で寂聴さんならどうするか、と折に触れて考えると思う」と話した。

 東広島市の賀茂泉酒造の前垣寿宏社長(47)は祖父の代から親交があり、毎年日本酒を贈っていた。「80歳を超えてもつやつやの手が印象的。日本酒が本当にお好きなようでした」と振り返る。10年余り前、「わが家で宴会をした時には時間を気にせず『これからが楽しいの』と歓談していた」と思い出を語る。

 核兵器禁止を求める署名の呼び掛け人に名を連ねるなど、反戦・平和にも強い関心を寄せた。広島県被団協の佐久間邦彦理事長(77)=広島市西区=は「はっきりした物言いや行動で核兵器廃絶への強い思いを世に示し、多くの人に影響を与えた。私たち被爆者の励みにもなっていただけに残念だ」と惜しんだ。

(2021年11月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ