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美術散歩 廃虚を包む自然 鮮やか

「廃墟と再生」中西繁展 in 広島 9月1日まで。

広島市中区の広島県立美術館県民ギャラリー

 1995年の阪神大震災を機に、廃虚を描き続ける中西繁さん。戦争や災害で破壊された景観や、欧州の美しい街並みを描いた油彩65点が並ぶ。人類が生み出した「正と負」の遺産をテーマにした個展だ。

 2012年に描いた「フクシマ」は縦約2メートル、横約5メートルの超大作。水素爆発で鉄骨をさらす原子炉建屋の背景に、澄んだ青い空が広がる。同じく東日本大震災を描いた「南三陸」は、がれきの表面を静かに白い雪が覆う。

 人知と自然との対比。建築家としても活躍した作者のまなざしがうかがえる。1946年、東京生まれ。神奈川県鎌倉市在住。(石井雄一)

(2013年8月29日朝刊掲載)

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