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原爆で壊滅の街 画集に 森冨茂雄さん死去

 原爆投下で壊滅した広島市中心部の街並みを細密な鉛筆画に描き残した被爆者の森冨茂雄(もりとみ・しげお)さんが11日、胃がんのため広島市安佐南区の病院で死去した。92歳。山口県出身。自宅は広島市西区。葬儀は家族で営んだ。

 1945年8月6日、市立造船工業学校(現市立広島商業高)3年だった森冨さんは、動員先の三菱重工業の己斐分工場(現西区)で被爆。父や弟たち家族5人を失った。

 家族や友人が生きた街並みを残そうと、本通り商店街や県産業奨励館(現原爆ドーム)付近などを店の看板まで描写。2011年に画集「消えた町 記憶をたどり」を発刊した。アニメ映画「この世界の片隅に」の参考にされ、18年には映画ファンの要望で復刊。20年には英訳された。

 証言の記録や画集の出版を担った市民団体ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会の中川幹朗代表(63)は「実直でユーモアがあり画集が評価されても決して偉ぶらなかった。多くの人に絵を見てほしい」としのんだ。

(2021年11月14日朝刊掲載)

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