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ゲン閲覧制限の要請撤回 松江市教委が校長に伝達 判断への批判続出

 松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を要請していた問題で、市教委は28日、臨時の校長会を開き、要請を撤回することを49小中学校に伝えた。市教委の清水伸夫教育長は「手続きの不備により混乱を招いた」と陳謝した。

 出席した校長からは撤回理由を手続きに絞った市教委の判断に対し、批判が続出。昨年12月とことし1月の2度に及んだ要請が強制力を伴ったとの指摘も相次いだ。

 市教委による説明後の質疑では、出席者の約4分の1に当たる12人の校長が意見を表明。「要請自体(の是非)をどう考えるのか」「強い要請だったと認めるべきだ」などと迫った。

 これに対し、市教委側は「知る権利を侵害するほどの認識がなかった」(古川康徳副教育長)「閉架でなく(校長と)扱いを検討するのが妥当だった」(清水教育長)と釈明した。

 最初の要請で「校長判断」としたにもかかわらず対応の徹底を再び要請した事実については「現場の司書からの要望があったため」とするにとどめた。

 終了後の記者会見で松江市中学校長会長の岡田正樹・島根中校長は「市教委が学校にどこまで指示できるのか見極める必要がある」と述べ、指導範囲の再考を市教委に求めた。

 清水教育長は今後の対応について「閉架や開架といった個別の措置に口出しはしない。学校の権限であり自主性に任せる」とした。

 市教委は26日に臨時の教育委員会議を開き、要請撤回を決めていた。(樋口浩二)

(2013年8月29日朝刊掲載)

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