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首相、橋渡し役に意欲 NPT会議 中満氏と意見交換

 岸田文雄首相(広島1区)は15日、国連で軍縮担当上級代表を務める中満泉事務次長と官邸で会談した。被爆地広島を地盤とする首相は、来年1月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を念頭に「『核兵器のない世界』の実現に向けた国際的な取り組みをけん引していく」と強調。対立する核兵器保有国と非保有国との間で意見調整に全力を注ぐ考えを示した。

 中満氏は核兵器廃絶へ国際世論の喚起を目指している。首相には「立場の異なる国の間の橋渡しのため、日本が積極的な役割を果たすことを期待している」と求めた。

 NPT再検討会議は新型コロナウイルスの影響で再三延期され、来年1月4日から28日に米ニューヨークの国連本部で開かれる。2015年の前回会合は核兵器保有国と非保有国の対立で決裂した経緯があるだけに、首相と中満氏は次回会合で「意義ある成果が得られることが重要だ」との認識で一致した。

 今年1月に発効した核兵器禁止条約を巡って、首相は核兵器保有国が賛同していない現状での署名・批准に後ろ向きな姿勢を改めて説明した。

 中満氏は続いて林芳正外相(山口3区)を外務省に訪ね、核軍縮について意見交換。林氏は「唯一の戦争被爆国として核軍縮に努力したい」と述べた。中満氏は「国際社会の最も重要な課題である核軍縮に日本のリーダーシップを発揮してほしい」と語り、再検討会議への出席を要請した。(樋口浩二、口元惇矢)

(2021年11月16日朝刊掲載)

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