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日本語教室 懸け橋25年目 沼田でボランティア運営 延べ1万人以上学ぶ 暮らしも支える

 ボランティアで外国人に日本語を教える「沼田日本語教室」(広島市安佐南区)が開設25年目を迎えた。学んだ生徒は延べ1万人以上。沼田公民館(同区)を拠点に、近隣住民との交流を通じて「文化の懸け橋」の活動を重ねる。(阪本茉莉)

 10月下旬、フィリピンやメキシコなどから来日した生徒5人と代表の黒瀬美智子さん(85)=同区=たちスタッフが公民館の一室に集った。教科書や新聞などを使い、個人のレベルや関心に応じた読み書きのレッスンを行った。毎週土曜の学習風景だ。

 同教室は黒瀬さんが1997年5月に開設。県教委主催の日本語ボランティア養成講座を受講して間もない頃、近所の人から「来日した知人の奥さんがホームシックになっている」と聞き、少しでも力になりたいと考えた。

 日本語を教えるだけでなく、ひなまつりや七夕といった季節の行事を紹介し、地域の人と料理や歌などを通じた文化交流も大切にしてきた。職探しや対人関係の悩みなど、学習者が抱える不安にも向き合う。

 2019年10月にフィリピンから来日した米山丈児さん(23)=西区=は「希望していた介護の仕事探しをサポートしてくれるなど、とてもありがたい」と感謝。仲間と一緒に学べるこの場を大切にしている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で教室が開けない時期もあった。黒瀬さんたちは、無料通信アプリLINE(ライン)を使ったオンラインレッスンにも力を入れ、生徒とのつながりを保った。

 近年は技能実習生やエンジニア、日本人の配偶者が増え、多様な国籍の10~15人が通う。黒瀬さんは「少しでも力になれるよう、生徒一人一人に向き合ってきた。和気あいあいとした雰囲気をいつまでも大切にしたい」と話している。

(2021年11月17日朝刊掲載)

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