G7サミット 広島誘致へ 23年 県と市が調整 核軍縮の機運醸成狙う
21年11月18日
広島県と広島市が、2023年に日本で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の誘致を目指して調整していることが17日、県と市への取材で分かった。サミット開催が実現すれば、米国のバイデン大統領をはじめとした世界のリーダーが被爆地に集うことになる。県と市は、核兵器廃絶を世界へ訴え、核軍縮・不拡散の機運を高める場としたい考えだ。(久保田剛、河野揚)
広島市の松井一実市長は、核抑止力に依存しない安全保障への転換を核保有国に求めてきた。県などによると、G7サミットでは核兵器廃絶の必要性を直接訴え、平和の象徴としての広島を世界に発信するほか、自然や文化、産業都市としての魅力をアピールする狙いもある。市の担当課は「主要国の首脳が集う会議の広島開催は、大変意義がある」と話す。
県などによると、外務省は12月中旬を期限に、G7サミット開催を希望する自治体を募っている。宿泊施設や警備体制など開催地に求められる条件を踏まえ、県と市は期限までには誘致するかどうかを決定するとみられる。
G7サミットは議長国が持ち回りで開催。日本では16年5月、三重県志摩市で「伊勢志摩サミット」があった。広島市も開催地に立候補したが落選。同サミットに先立つ外相会合の開催地に選ばれた。同年4月に外相会合が開かれ、当時外相だった岸田文雄首相(衆院広島1区)が議長を務めた。
翌月のサミットに合わせて来日したオバマ米大統領(当時)は、原爆の投下国である米国の現職大統領として初めて被爆地広島を訪問。平和記念公園(広島市中区)で演説し、被爆者と面会した。G7サミットの広島開催が実現すれば、オバマ氏と同様に「核なき世界」の希求を表明しているバイデン大統領の動向も注目されることになる。
G7サミットを巡っては福岡市が10月に誘致を表明。仙台市や新潟市が、関係閣僚会合の誘致を目指している。
G7サミット
先進7カ国(G7)首脳が参加する国際会議。日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダがメンバー。会議には欧州連合(EU)も加わり、安全保障や経済など幅広い議題を扱う。冷戦終結後にロシアが加わってG8となったが、2014年にウクライナ南部クリミアを強制編入したため排除された。各国が持ち回りで開催し、今年の議長国は英国。中国やインドが参加する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)などができ、存在感の低下が指摘される。
(2021年11月18日朝刊掲載)
広島市の松井一実市長は、核抑止力に依存しない安全保障への転換を核保有国に求めてきた。県などによると、G7サミットでは核兵器廃絶の必要性を直接訴え、平和の象徴としての広島を世界に発信するほか、自然や文化、産業都市としての魅力をアピールする狙いもある。市の担当課は「主要国の首脳が集う会議の広島開催は、大変意義がある」と話す。
県などによると、外務省は12月中旬を期限に、G7サミット開催を希望する自治体を募っている。宿泊施設や警備体制など開催地に求められる条件を踏まえ、県と市は期限までには誘致するかどうかを決定するとみられる。
G7サミットは議長国が持ち回りで開催。日本では16年5月、三重県志摩市で「伊勢志摩サミット」があった。広島市も開催地に立候補したが落選。同サミットに先立つ外相会合の開催地に選ばれた。同年4月に外相会合が開かれ、当時外相だった岸田文雄首相(衆院広島1区)が議長を務めた。
翌月のサミットに合わせて来日したオバマ米大統領(当時)は、原爆の投下国である米国の現職大統領として初めて被爆地広島を訪問。平和記念公園(広島市中区)で演説し、被爆者と面会した。G7サミットの広島開催が実現すれば、オバマ氏と同様に「核なき世界」の希求を表明しているバイデン大統領の動向も注目されることになる。
G7サミットを巡っては福岡市が10月に誘致を表明。仙台市や新潟市が、関係閣僚会合の誘致を目指している。
G7サミット
先進7カ国(G7)首脳が参加する国際会議。日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダがメンバー。会議には欧州連合(EU)も加わり、安全保障や経済など幅広い議題を扱う。冷戦終結後にロシアが加わってG8となったが、2014年にウクライナ南部クリミアを強制編入したため排除された。各国が持ち回りで開催し、今年の議長国は英国。中国やインドが参加する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)などができ、存在感の低下が指摘される。
(2021年11月18日朝刊掲載)