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カーターピーナッツ 収量倍増 甲奴 住民組織も新たに栽培

21日に収穫祭

 三次市甲奴町の特産「カーターピーナッツ」の本年度の収量が、昨年度の倍の約800キロになると見込まれている。高齢化や獣害の影響による生産量の減少でブランド維持に危機感が漂う中、同町の住民組織である上川地区振興協議会が今春、栽培に加わった。21日に同町である収穫祭では、取れたてのピーナツや加工品が並ぶ。(石井千枝里)

 同協議会は収量アップに一役買おうと、地区内の約6アールの畑を使い、10人ほどで取り組んだ。電気柵による獣害対策や徹底した除草を通し、今月上旬に約400キロ分を収穫した。中旬には同協議会事務局の伊達潤郎さん(64)=有田=と副会長の秋山浅人さん(63)=同=が生産者組織「カーターピーナッツ研究会」の加工所(西野)に持ち込んだ。迎えた研究会の近藤幸晴会長(73)=小童=が「粒の大きさがそろっていて上出来」とねぎらった。

 研究会によると、同町でのピーナツ生産は、ジミー・カーター米元大統領(97)から友好の証しとして種を譲り受けた2001年に始まった。記録が残る07年度以降、09年度に50戸で生産した1942キロをピークに、高齢化や連作障害、獣害の影響で収量の減少傾向が続く。昨年度は18戸で計約400キロにまで落ち込んでいた。

 研究会はブランド維持に向け、ピーナツの高付加価値化による高収益化を通して栽培の拡大につなげようと模索を続けている。15年から広島市の菓子店と連携し、ピーナツを使ったまんじゅうやチョコレートなどを開発。甲奴産ピーナツは小粒で香りがよく、加工用として需要が高いという。

 供給は追いついておらず、研究会などは加工用にカーター氏の古里、ジョージア州プレーンズ産の輸入も試みている。今春にサンプルが届いたが、安定した供給が見込める現地の生産者が見つからず、本格的な発注には至っていない。

 「管理は難しいが無事に収穫できた。来年も頑張りたい」と伊達さん。近藤会長は「おいしさを多くの人に知ってもらい、栽培に挑戦したい人が現れればうれしい」と話す。

 収穫祭は21日午前9時から正午まで、甲奴健康づくりセンターゆげんき(西野)の駐車場周辺である。ピーナツは数量限定で販売。ピーナツを用いた焼き菓子や軽食などがある。甲奴町振興協議会連合会☎0847(67)3535。

(2021年11月19日朝刊掲載)

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