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日米友好の人形 平和学習冊子に 福山市立大 小学校に配布

 福山市金江町の金江小に昭和初期に贈られた「青い目の人形」を題材にした平和学習の取り組みを、市立大の大庭三枝准教授たちが冊子にまとめた。戦争により悲しい運命をたどった人形と、戦後に人形が縁で再び始まった交流から平和の尊さを学ぶ内容。市教委に寄贈し、市立小など75校に配布される。

 青い目の人形は1927年、日米親善の象徴として米国の宣教師が日本各地の学校に贈った。多くは日米開戦後、「敵性人形」として処分された。同小にも1体があったが、所在は不明。贈られた当時の記念写真が見つかり平和学習の題材にした縁で、96年に人形を贈る運動を再開した宣教師の孫から「コーラ」と名付けられた1体が届いた。4年生は毎年、これらのエピソードを盛り込んだミュージカルを披露している。

 大庭准教授たちは昨年度、市立大の重点研究としてこの平和学習を調査。元校長たち関係者や住民への聞き取り、同小を通して97年に「スーザン」が贈られた呉市の仁方小に残る資料などを集め、冊子にまとめた。ミュージカルなどを収めたDVDも付けた。

 大庭准教授たちが12日、市教委学びづくり課の本宮政尚課長に冊子を手渡した。大庭准教授は「学校や地域にある教育資源を生かした素晴らしい平和学習の事例。参考にしてほしい」と望んだ。本宮課長は「平和について考えるきっかけになるよう活用したい」とした。(吉原健太郎)

(2021年11月21日朝刊掲載)

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