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地震対策強化求める声 島根県松江で原発新基準初説明

 原発の再稼働・稼働を審査するため原子力規制委員会が設けた新規制基準が30日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)のある同市と市民に初めて説明された。津波対策に比重を置いた新基準に対し、市民からは、地震対策の強化や福島第1原発事故の原因の徹底的な究明を求める声が相次いだ。(樋口浩二、土井誠一)

 「福島の事故では地震で原子炉の配管が損傷したのでは。その対策が足りない」「原発周辺の活断層調査を電力会社に任せて大丈夫か」。島根原発の安全対策を議論する市原子力発電所環境安全対策協議会(安対協)では、市民が相次ぎ地震対策の不十分さを指摘した。

 これに対し、規制委事務局で原子力規制庁技術基盤課の田口達也課長補佐は「地震ではっきりと損傷したとの痕跡は見つかっていない」などと応じた。

 福島の事故の原因究明を求めている松江市の松浦正敬市長もこの日、田口課長補佐に地震の影響を質問。田口課長補佐は「現時点では不明で、調査を続ける」と述べた。

 一方、安対協では中電が、基準を踏まえて進める安全工事の状況を説明した。事故時に原子炉格納容器の圧力を下げるフィルター付きベント設備など2014年度内に主な対策を終えるとした。

 中電は定期検査で停止中の2号機と建設中の3号機について、年度内にも再稼働・稼働に向けた安全審査を規制委に申請する。島根原子力本部の古林行雄本部長は「提出に向けベント設備の詳細な設計を進めている。時期は未定」と述べた。

 県と同市は、中電と結ぶ安全協定に基づき、安全審査の申請前に県市の了解を得るよう中電に求めている。県市ともに再稼働・稼働の是非は審査終了後に判断する考え。

(2013年8月31日朝刊掲載)

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