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比治山に眠る仏兵士知って 北清事変で負傷の7人 日本語の説明板設置

 広島市南区の比治山陸軍墓地にあるフランス人兵士の埋葬地に、日本語の説明板が設置された。中国・清朝末期の「北清事変」で負傷した7人の兵士が、祖国から遠く離れた広島で眠る史実を市民に知ってもらおうと、広島日仏協会(中区)などが設けた。(小林可奈)

 北清事変は1900年に中国で起き、列強の圧迫に反発した「義和団」を、米英仏や日本などの各国が出兵して鎮圧した。比治山陸軍墓地内で眠るのは、事変で負傷して広島に運ばれたフランス人兵士120人余りのうちの7人で、同年に埋葬されたという。

 説明板は縦38センチ、横42センチのステンレス製。日本語で「フランス兵士の墓」と刻む。事変で鎮圧に当たった史実に触れ、「陸軍病院で治療されたが、7名が治療の甲斐(かい)なくこの地で落命した」「海を見下ろす絶景の地に埋葬された」などと伝える。同協会が在京都フランス総領事館や在日フランス大使館と共同で設置した。

 除幕式と追悼記念式が19日に現地であり、同協会や同総領事館の関係者、県内に住むフランス人たち約30人が参列した。ジュール・イルマン総領事(47)は「説明板で、彼らの存在に再び光が当たることになる」とあいさつ。埋葬された兵士の生い立ちや軍歴が読み上げられた。同協会の原野昇副会長(78)は「異国の兵士が命を落とし、お墓が大切に守られてきた。その事実を忘れないための一助にしたい」と願った。

(2021年11月22日朝刊掲載)

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