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原爆ドーム景観 1月から規制 高さ制限へ広島市計画改定

 広島市は25日、平和記念公園(中区)にある原爆ドームを南側から見た景観を保護するため、新たに建てる建物の高さを制限すると発表した。市の景観計画を改定し、来年1月4日から規制する。ドームの背景に建物が見えない景観をつくり、平和都市広島を象徴する眺望を次代につなぐ。

 原爆資料館本館の下からドームを見た場合に、左右17度、ドーム北側の奥行き最大5・2キロの保全エリアで建物の高さを規制する。特にドーム真後ろの左右3・1度の範囲は厳格化。資料館本館から500メートル地点の旧市民球場跡地付近で高さ25メートル、1キロ地点の中央公園広場付近で高さ44メートルまでとした。5キロ地点は202メートルを限度とする。

 3・1度から外側のエリアでは、植栽で隠れる効果が見込めるため、規制は緩やかにする。500メートル地点で高さ30メートル、民有地が増える1・5キロ地点で82メートルを上限とする。例えば15階建てマンションは45メートル程度のため、通常の建物は対象にならない。制限を超えると建築確認が下りない。

 同公園は原爆慰霊碑と原爆ドームが南北に並び、資料館から北側を眺める景観は特に重要とされる。市は、多くの観光客が眺める「平和の思いを高めるため大事な空間」と位置付ける。一方で、ドーム周辺では法律に基づく高さの規制がないことから、市は2019年の審議会で規制の方針を提示。今年3月の審議会に今回の改定案を諮問し、公聴会などを経て10月に「改定は適当」とする答申を受けた。

 市によると、保全エリアには広島商工会議所ビルなど基準を超える高さのビルが2棟ある。既存の建物には規制は及ばないが、建て替える場合は対象となる。同商議所は今後、中区内に新築されるビルに移る予定でいる。(新山創)

(2021年11月26日朝刊掲載)

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