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手帳交付 22年度新制度 「黒い雨」救済で厚労相 広島県・市と正式協議へ

 後藤茂之厚生労働相は25日、広島原爆の「黒い雨」訴訟で勝訴した原告と同じ状況にあった人々に対しても被爆者健康手帳を交付する新たな制度を2022年度につくる考えを示した。厚労省と広島県、広島市の正式な協議の場を近く設ける予定で、同じく被害を訴える人がいる長崎県、長崎市を加える案も出た。同日面会した広島県の湯崎英彦知事が明らかにした。(樋口浩二、境信重)

 厚労省を訪ねた湯崎氏は被爆者認定制度の改正などを急ぐよう求める要望書を提出。国の援護区域を大幅に拡大することも訴えた。

 非公開の会談後、湯崎氏は「(後藤氏から)22年度から新制度を運用できるよう考えるとのことだった。県がお願いしてきた方向に進みそうだ」と話した。

 政府は7月、原告84人全員を被爆者と認定した広島高裁判決を受け、「訴訟への参加・不参加にかかわらず(被爆者)認定し救済できるよう早急に対応を検討する」とした菅義偉首相談話を閣議決定した。広島県・市によると、その後、被爆者健康手帳の新規申請が急増し、すでに計1100件を超えているという。

 被爆者認定指針が改定されていないため審査できていないが、厚労省と広島県・市は原告団以外の黒い雨被害者の被爆者認定基準などについて実務者レベルの協議を重ねている。

 関係者によると、面会では、国が被爆者と認めていない長崎原爆の「被爆体験者」の救済も探るため、協議の場に長崎県・市も加える案も出たという。

(2021年11月26日朝刊掲載)

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