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広島世界平和ミッション パレスチナなど訪問中止 第一陣 中東情勢混迷 帰国へ

 【テヘラン14日岡田浩一】イラン滞在中の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第一陣は十四日、隣国イラクで起きた日本人人質事件など中東情勢の混迷化で十六日からのイスラエルとパレスチナ訪問を中止し、帰国することを決めた。

 参加者の五人と同行記者の二人は、現地でも報じられている事件の影響や、三月にあったイスラエル軍によるイスラム原理主義組織ハマスの創始者ヤシン師殺害後の最新情勢について、日本からも情報を集め、話し合いを続けてきた。

 「こういう時だからこそヒロシマのメッセージが求められている」との意見の一方、イスラエルとパレスチナ訪問は「現状では危険がないとは言い切れない」の見方が出て、参加者の安全を最優先にして帰国する。

 被爆者の寺本貴司さん(69)=広島県大野町=は「紛争地の和解に少しでも役立ちたかったが、残念。訪れた南アフリカやイランでの体験を糧に平和のために一層尽くしたい」と誓っていた。

 一行は十五日現地を出発、関西空港経由で十六日夜、広島に着く予定。

時期が適当でない

広島国際文化財団の話
 イラクでの邦人人質事件にみられるように中東情勢は混迷を深めています。参加者の次の訪問地であるイスラエル、パレスチナでの安全を考えると、今の時期は適当でないと判断せざるを得ません。情勢の改善をみて派遣の時期を探ります。

(2004年4月15日朝刊掲載)

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