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再検証追加費に4億円 援護対象区域の早期確定へ

 政府は26日閣議決定した2021年度補正予算案に、広島原爆の「黒い雨」被害者救済の基準となる国の援護対象区域(大雨地域)を再検証する追加費用として4億円を盛り込んだ。昨年11月からの有識者の検証作業の精度を高め、できるだけ早く対象区域を確定させるのが狙いだ。

 政府は20年度予算で1億5千万円を交付しており、有識者検討会が被爆直後の気象を再現するコンピューターシミュレーションなどで現在の対象区域が妥当か調べている。京都大複合原子力科学研究所などによるデータ解析には追加費用が必要だと判断したという。

 原告84人全員を被爆者と認めた7月の広島高裁判決を受け、広島県と広島市は9月、対象区域を大幅に広げるよう厚生労働省に要望。現区域の約6倍の広さとなる「大滝雨域」と、同雨域のエリア外を一部含む「増田雨域」を合わせた地域を少なくとも対象とするよう求めている。

 黒い雨の被害者救済を巡っては、後藤茂之厚労相が来年4月から新たな被爆者認定を始めると表明。この個別認定審査と併せて、厚労省は有識者検証で援護対象区域も固めたい考えだ。(樋口浩二)

(2021年11月27日朝刊掲載)

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