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軍艦利根資料館が閉館 江田島 閲覧書籍紛失受け

 旧海軍の巡洋艦利根の関連資料を展示する広島県江田島市能美町の軍艦利根資料館が、閲覧用書籍の一部がなくなったのを受けて26日から閉館している。地元住民たちが管理し無人で運営してきたが、盗まれた疑いもあり、開館を継続できないと判断した。

 利根は1945年7月、江田島湾で米軍機の爆撃を受け、乗組員128人と地域住民が犠牲になったとされる。資料館は木造平屋約50平方メートルで、隣接する利根公園に立つ戦没者慰霊碑の保存会が87年に建設、有志で運営してきた。

 現在は、自動ドアをタイマーでセットして毎日午前8時~午後6時に開館し、入場無料。

 館内には、大破着底した利根の装備品や乗組員の着衣、写真など200点以上を展示している。参考書籍約200冊も自由に閲覧できたが、管理者の一人の城山健一さん(40)によると、少なくとも1冊がなくなっているのを22日に確認。利根の元艦長の著書で、盗難が疑われるという。

 県内外から年間約千人が訪れ、維持費は来館者からの寄付で賄ってきた。城山さんは「今後も資料が盗まれる危険を否定できない。対策をした上での再開を検討したいが、時期は見通せない」と話している。(楠信一)

(2021年11月27日朝刊掲載)

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