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連載・特集

広島世界平和ミッション 南アフリカ編 虹の彼方に <3> 音なき戦争

 被爆者の寺本貴司さん(69)はそっと病室を抜け出した。周りに涙を気取られないためだ。

 南アフリカ共和国のヨハネスブルク近郊にあるエイズ患者ホスピス。広島世界平和ミッションの一行は、エイズ禍の実態に触れた。

 南アのエイズウイルス感染者は約五百万人。社会の関心がアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃と民主化に集まるその裏で、感染は広まっていった。ホスピスのセンター長を務める邦人神父(72)はエイズとの闘いを「音なき戦争」と呼んだ。

(2004年5月12日朝刊掲載)

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