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北朝鮮核実験 安保理、新決議で合意 制裁の実効性狙う

 北朝鮮の2回目の核実験を受け、国連安全保障理事会の五常任理事国と日本、韓国は25日、前回の核実験後に安保理が採択した決議の制裁措置に実効性を持たせる新決議を目指す方向で基本合意した。複数の国連外交筋が明らかにした。安保理は日本の要請で同日、緊急会合を開催。安保理のチュルキン議長(ロシア)は会合後、直ちに新決議の安保理協議に入ると表明し、北朝鮮を非難する声明を発表した。

 北朝鮮寄りの中国、ロシアが今後、決議案の文言など詳細に異論をはさむ可能性があり、「最終合意には最低数日は必要」(国連外交筋)という。

 米国が日本などとともに安保理への提示を準備している新決議案は、北朝鮮船舶への臨検強化などにより、既存の制裁措置の徹底を求める内容。核・ミサイル計画に転用可能な軍民両用品など禁輸品目の拡大も盛り込む見通し。

 26日午前(日本時間同日夜)に米、英、フランス、中国、ロシアの五常任理事国と日本は事務レベルの専門家会合を開催。同会合で一致できれば、同日午後にも安保理協議を開き、新決議案を提示する見通し。

 中ロは、一方的な制裁強化は核問題をめぐる六カ国協議再開に悪影響を与えるとみており、拒否権をもつ両国の出方が協議の焦点となる。

 チュルキン議長によると、今回の核実験は、2006年10月に北朝鮮が最初の核実験を実施した後、安保理が採択した決議1718の「明白な違反」との認識で全理事国が一致したという。

 一方、麻生太郎首相は26日、オバマ米大統領と電話会談し、安保理の新決議が必要との認識で一致。中ロなどへの働き掛けを強める方針を確認した。

 また、韓国政府は26日、これまでオブザーバー参加だった米国主導の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を発表。北朝鮮は全面参加は「宣戦布告」と警告しており、激しい反発が予想される。

国連安全保障理事会決議1718
 北朝鮮の2006年10月9日の核実験を受け、安保理が同14日に全会一致で採択した。非軍事の経済・外交制裁を規定した国連憲章7章41条に基づく決議。北朝鮮に追加的な核実験や弾道ミサイル発射をしないよう求めた上で、加盟国に①核・ミサイル・大量破壊兵器関連物資、ぜいたく品の北朝鮮への輸出禁止②北朝鮮の大量破壊兵器計画にかかわる個人や団体の金融資産凍結-などを義務付けた。

(共同通信2009年5月26日配信、5月27日朝刊掲載)

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