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独参加 日本の圧力懸念 核禁条約会議で広島知事

 広島県の湯崎英彦知事は30日の記者会見で、核兵器禁止条約の第1回締約国会議にオブザーバー参加するとするドイツ新政権の方針表明を歓迎した。日本政府に対して「ドイツに対し、オブザーバー参加しないようプレッシャーをかけることがないようにお願いしたい」とくぎを刺した。

 ドイツの参加表明は、米国の核抑止力が根幹にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国でノルウェーに次ぎ2カ国目。湯崎知事は先進7カ国(G7)メンバーでもあるドイツの参加により、来年3月にオーストリア・ウィーンで予定される締約国会議では、核兵器廃絶に向けた議論が深まり、禁止条約の署名、批准国が増えるのを期待した。

 その上で、やはり安全保障を米国の「核の傘」に依存する日本政府が、逆にドイツの足を引っ張る事態を懸念。禁止条約に背を向ける日本政府へ「オブザーバー参加できない理由はないのではないか。被爆地の思いをしっかり受け止めてもらいたい」と求めた。

 湯崎知事は併せて、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に言及した。県のゲノム解析で特定でき、これまでに感染例はないと説明。全世界を対象に外国人の新規入国を禁止した政府の水際対策を「臨時的、緊急的な対応。まず厳しく始めるというので妥当だ」と評価した。(宮野史康)

(2021年12月1日朝刊掲載)

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