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はだしのゲン閲覧制限 松江市小学校長会・河原会長に聞く

知る権利 尊重すべき

 松江市教委による「はだしのゲン」の閲覧制限問題は、中国新聞社のアンケートで約9割の小中学校が制限をすでに解除、または解除する方針を示した。この結果を受け、同市小学校長会会長の河原(ごうばら)史佳・雑賀小校長(59)は、学校が選書基準を再考する必要性に言及。その上で「一表現を過剰に規制する動きが学校に広がってはならない」と強調した。(樋口浩二)

 ―要請の撤回をどうとらえますか。
 学校の自主性が尊重され、妥当だった。

 ―要請のどこが問題だったと考えますか。
 2度に及んだため現場が「指示」と受け取り、本来選書を担う学校の自主性が損なわれた点だ。明確に反対しなかった現場にも問題があった。閉架が子どもの知る権利を侵すとの認識が両者に足りなかったと思う。

 ―学校での図書選定のあるべき姿は。
 選書基準を持つ学校は少ない。学校が有識者を交えた選定委員会を設けるのは有効な手段だ。そこに市教委の助言があってもいい。

 ―表現の自由を持つ出版物の規制強化につながりませんか。
 「規制ありき」の委員会ではだめだ。子どもの発達に応じた教育上の配慮は必要だが、基本的には知る権利を尊重し、制限には慎重であるべきだ。

 ―戦争の記憶をどう継承するかというテーマも問われています。
 体験者が減る中、事実に基づいた残酷な表現を安易に閉ざせば社会の記憶は薄れてしまう。一定の配慮は確かに必要だが、戦争の悲惨さから目を背けないことがより大事だ。

(2013年9月4日朝刊掲載)

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