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米軍岩国 搬入車両で渋滞 苦情相次ぐ 抜本対策進まず

 山口県岩国市の米海兵隊岩国基地に建設資材を運び込む大型車両が、周辺の路上に慢性的な渋滞を起こしている。艦載機移転の受け入れ準備などで工事量が増える中、米海兵隊による車両のチェックに時間がかかるのが理由。市民からの苦情も相次いでいるが、効果的な対策は打てておらず、基地への不満が思わぬ形で広がる可能性も出ている。(大村隆)

1日300台 検査待ちで1車線ふさぐ

 基地前の市道と、それにつながる県道は午前10時前からコンクリート製くいなどを積んだ大型トレーラーが長い列をつくる。片側2車線の1車線をふさぎ、車列は約2キロ北の国道2号交差点まで続くことも。残る1車線に一般車が殺到するため、慢性的な大渋滞となっている。

 工事発注する中国四国防衛局によると、渋滞が目立ち始めたのは5月末ごろから。格納庫、駐機場などの大型工事が重なっていることが原因という。

 工事車両はダンプ、大型トレーラーなど1日約300台。入門時の搬入物チェックに1台数分は必要なため、チェックを待つ車両が必然的に路上をふさぐ事態が起きている。

 市には7月上旬から渋滞への苦情が寄せられ始めた。防衛局は市の改善要請を受け、8月9日から大型トレーラー以外の車両を基地内で待機させた後、チェックを受けるように入門方法を見直した。しかし、根本的な解消には至っていない。

 8月21日には岩国錦帯橋空港行きシャトルバスが渋滞で遅れる事態も。マイカー送迎にも影響が出ており「渋滞で飛行機に乗り遅れた」といった苦情も寄せられているという。

 それでも、県道の管理者の県道路整備課は「渋滞は把握しているが、道路構造上の問題ではないため、現時点ではこちらが対応する問題ではない」。岩国警察署は「国道まで車列がはみ出さないように指導している」と説明するが「駐車しているわけではなく、法令違反はない」と対応の難しさを指摘する。

 岩国基地には2017年ごろに米軍厚木基地(神奈川県)から艦載機が移転する予定。関連工事が本格化すれば、渋滞は一層深刻化する恐れもある。さらに、本年度内には愛宕山地域開発事業跡地で米軍住宅などの建設工事も始まる。

 米海兵隊岩国基地報道部は「(渋滞は)現在進行形の懸念事項」と認めている。防衛局も「沿道に警備員を配置するなどしていたが渋滞は想定以上」として新たな対応策も検討しているが、効果的な対策はまだ打てていない。慢性的な渋滞が今後も見込まれる中、市民の基地への不満が広がりかねない状況になっている。

(2013年9月4日朝刊掲載)

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