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広島世界平和ミッション 被爆者や学生ら5人 第三陣 英仏スペイン訪問 来月4日出発

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第三陣メンバーが二十一日、決まった。被爆者二人を含む五人が七月四日から約四週間、核保有国のフランスと英国、今年三月の列車爆破テロを受けイラクから軍隊を撤退させたスペインの三カ国を訪問。被爆証言やミニ原爆展などで原爆被害の実態を伝えると同時に、政治指導者や市民らとの対話を通じて、核兵器廃絶や暴力の連鎖を断ち切る方策を探る。

 メンバーは、被爆者で原爆資料館の案内ボランティアを務める細川浩史さん(76)=広島市中区▽胎内被爆者で子どもたちへの体験継承活動に取り組む主婦石原智子さん(58)=安佐南区▽安佐北区出身で、英国ブラッドフォード大大学院で平和学を専攻する野上由美子さん(31)▽社会福祉士の山田裕基さん(27)=廿日市市▽中区出身で筑波大一年の花房加奈さん(18)=茨城県つくば市。

 「核抑止」の考えが根強いフランスでは、研究者や政治指導者と面会して、「核翼賛体制」の実状に触れ、壁を打ち破る具体的な方法を考える。英国では、イラク反戦や核兵器廃絶などで世界をリードする非政府組織(NGO)や自治体と交流し、連帯の道を追求する。

 スペインでは、テロ後の選挙で「軍隊撤退」の公約を掲げたサパテロ新政権を誕生させた有権者が、「テロの脅威」をどうとらえたかなどについて学び、「国際貢献」の在り方などについて意見交換する。

 細川さんは「言葉は通じなくても心を開いて接すれば、必ず思いは伝わるはず」と語り、花房さんは「政府と市民の考えがいつも同じとはいえない。核保有国やイラク戦争に賛成した国の国民が何を考えているのか話し合いたい」と意気込んでいる。

 第三陣は六十八人の応募から選ばれた。中国新聞の記者とカメラマン計三人が同行する。

(2004年6月22日朝刊掲載)

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