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被服支廠の保存 水彩画集に願い アマ画家藤登さん自費出版

 アマチュア画家の藤登弘郎さん(85)=広島市安芸区=が、市内最大の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」を描いた水彩画集を自費出版した。建物の保存や利活用を巡る議論について説明するページも設けた。平和学習に役立ててもらおうと市立の小中高校と図書館などに寄贈した。

 タイトルは「生き残る被爆建物 旧広島陸軍被服支廠」。爆風で曲がった鉄扉や、被爆直後に多くのけが人が運び込まれた屋内の絵など35点を載せた。

 県が「2棟解体、1棟外観保存」の原案を出した2019年末から、国所有の1棟も含めた全棟保存を訴える市民の活動、県が「3棟耐震化」へとかじを切るまでの経過を中国新聞の紙面と年表で説明している。

 藤登さんはこれまでも被爆樹木や慰霊碑などの絵画集を自費出版しており、これで5冊目。「自分にできる方法で建物保存への願いを表したい」と、約1年かけて制作した。

 B5判88ページ。400部制作。「原爆が投下された直後を想像しながら描いた。若い人にも見てもらいたい」と話す。(湯浅梨奈)

(2021年12月3日朝刊掲載)

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