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寺田氏が首相補佐官 国家安保・核軍縮担当

 政府は3日の閣議で、国家安全保障と核軍縮・不拡散を担当する首相補佐官に寺田稔元総務副大臣(広島5区)を起用する人事を決定した。岸田文雄首相(広島1区)は、自民党岸田派所属で元防衛政務官の寺田氏が外交・安保分野に通じ、被爆2世として被爆者救済に尽力したことを評価。政府は併せて観光立国などを担当する内閣官房参与に、10月の衆院選で落選した石原伸晃自民党元幹事長を充てると発表した。

 政府は2022年度に国家安全保障戦略の改定を控え、財務省時代に防衛担当主計官を経験し、自民党国防部会長も務めた寺田氏の手腕に期待を寄せる。一方で自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟の代表世話人を務め、首相がライフワークとする「核兵器なき世界」の実現でも理念を同じくする。

 石原氏は首相の盟友の一人。東京8区で11回連続当選を目指したが落選した。国土交通相や環境相を務めた経験から新型コロナウイルス禍で苦しむ観光業の活性化などを担うという。(下久保聖司、樋口浩二)

寺田氏の一問一答 核軍縮 取り組み推進

 寺田稔首相補佐官は3日、岸田文雄首相からの辞令交付後、官邸ロビーで報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

  ―核軍縮・不拡散の担務は歴代補佐官として初めてとなります。意気込みを聞かせてください。
 首相も私も、広島選出の議員として核軍縮や被爆者救済に取り組んできた。首相の強い思いをひしひしと感じるし、私も被爆2世として力を注ぎたい。核拡散防止条約(NPT)再検討会議が来年1月に開かれる。(核兵器保有国に軍縮義務を課す)NPTの枠組みの中で核軍縮を進めたい。

  ―来年3月には核兵器禁止条約の第1回締約国会議があります。日本と同じく米国の「核の傘」の下にあるドイツはオブザーバー参加する方針です。日本政府はどう対応しますか。
 今の段階で(参加の)条件は整っていないと考えるが、検討する必要はある。

  ―国家安全保障戦略の改定を控えています。
 防衛政務官や自民党国防部会長を務めた経験を生かし、日米同盟を基軸にわが国の安全保障体制を構築したい。軍事における技術革新や新たな兵器開発の状況も踏まえる。

  ―防衛予算の増額についてはどう考えていますか。
 安全保障体制の構築、そして国民全体を守るための経費だ。国家安全保障局(NSS)と連携し、来年度予算編成でしっかり確保する必要がある。

(2021年12月4日朝刊掲載)

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