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世界の核被害 実態報告 オンライン開催 フォーラムで議論

 世界各地の核実験や核廃棄物の被害者たちが集う「世界核被害者フォーラム2021」が3日、オンラインで開かれた。来春に予定される核兵器禁止条約の第1回締約国会議を見据え、被害実態や日々の活動について報告した。

 英国やカザフスタン、太平洋の島国などから参加。各地域の核被害者による証言映像を紹介した後、登壇者が生配信で議論した。

 米ネバダ核実験の「風下住民」のメアリー・ディクソンさんは「7歳で知らぬ間に被曝(ひばく)し、20代で甲状腺がんになった」と苦しみを証言。ウラン採掘で汚染されたインド・ジャドゥゴダのガンシャム・ビルリさんは「障害のある子が多い」と訴えた。

 パネル討論では、反核運動を進める若者たちが意見交換した。フランスが193回の核実験を行った南太平洋ポリネシアから、タヒチのレナ・ノーマンドさんが「核実験について語ることはタブー視されてきた。史実が忘れられないよう教育現場で教えている」と発言した。

 締約国会議では条文が定める「被害者支援」と「環境修復」などが議題になるとみられる。日本被団協の木戸季市事務局長は被爆者援護法について語り「締約国会議で私たちの経験が生かされる」、オーストラリアでの英国核実験で父たちが被害を受けたカリーナ・レスターさんは「世界の被害者の声で各国に圧力をかけたい」と力を込めた。

 NGO(非政府組織)ピースボート(東京)が、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))の協力を得て主催した。(湯浅梨奈)

(2021年12月4日朝刊掲載)

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