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平和への思い 若者たちが広げる 大学生 戦争遺跡ツアー

広島経済大3年生 後輩を案内

記憶継承・観光 両立探る

 「軍都広島」の歴史を伝えるため、広島経済大(広島市安佐南区)の3年生が4日、市内の旧日本軍の施設跡や被爆遺構を巡るツアーを開いた。当初、観光客向けに開く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で断念。代わりに後輩を案内し、戦争の記憶を継承する活動を託した。(余村泰樹)

 経済学部の竹林栄治准教授(55)=日独交流史=のゼミの活動の一環で、3年生15人が1、2年生23人を案内した。軍事施設が集中していた広島城(中区)周辺では、原爆投下後に「広島壊滅」の一報を送ったとされる中国軍管区司令部跡(旧防空作戦室)や、輸送部隊に関連する被爆遺構が出土したサッカースタジアム建設予定地を見学した。

 続いて広島電鉄の被爆電車で広島港(南区)に移動。日清戦争以降、日本の兵員輸送の拠点となった宇品港と広島駅を結んだ宇品線跡や陸軍桟橋跡を訪ね、生活と戦争が隣り合わせだった時代に思いをはせた。

 ツアーは、戦争の記憶の継承と観光振興の両立を目指して企画。ゼミは2022年度、新型コロナが落ち着けば観光客を案内する予定という。1年梅田駿さん(18)は「被爆地広島が軍都だったという歴史は興味深い。今後学び、広島を訪れる人に伝えたい」と話していた。

(2021年12月5日朝刊掲載)

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