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鹿島の栽培漁業センター アワビ 種苗生産を再開

 島根県松江市は10月から、アワビ育成施設、鹿島・島根栽培漁業振興センター(同市鹿島町)で、卵から貝を育てる種苗生産を再開する。2011年10月、購入した稚貝を育てる中間育成に切り替えたばかり。稚貝を購入している民間の事業者が撤退するためだが、2年で2度目の方針転換となる。(土井誠一)

 同センターは中国電力島根原子力発電所3号機(同)の電源立地地域対策交付金を財源に旧鹿島町と旧島根町が約7億円かけて05年に開設した。アワビの種苗生産を続けたが不調続きで休止。11年10月、中間育成に切り替えた。

 市によると、センターは年間約40万個の稚貝を出荷する。うち約32万個は地元の旧鹿島町と旧島根町の漁協向けで、販売価格は1個15円(通常80円前後)の取り決めがあり、赤字前提の運営。年間約6千万円の運営費の半額は中電の寄付金で、設立時にあった基金1億6800万円は14年度に底を突く見通しだ。

 だが市にセンター廃止の考えはない。稚貝の購入先は失うが、購入先から派遣されている技術責任者(51)がセンターにとどまるため、その種苗生産ノウハウに期待するという。中間育成は来春休止する。

 技術責任者は「水質や水温を管理できるようにコンパクト化を図る。今度はうまくいくはず」という。市水産振興課は「卵から育成した方がコストを抑えられる」と期待する。

 市は4日開会した市議会定例会に提出予定の13年度一般会計補正予算案に、センターの設備改修費など2074万円を計上。一方で業務委託費を見直し、874万円の減額補正も計上した。

(2013年9月6日朝刊掲載)

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