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上関原発反対31年の運動史 住民団体の前代表が出版

 山口県上関町の中国電力上関原発建設計画に反対する「上関原発を建てさせない祝島島民の会」前代表の山戸貞夫さん(63)が、「祝島のたたかい 上関原発反対運動史」を岩波書店から出版した。31年に及ぶ運動の歴史を、島の暮らしぶりを織り交ぜてつづった。

 当時の町長が原発誘致を表明した1982年6月を起点に、推進派と反対派が激しく競った町長選や町議選、立地予定地沖合でのボーリング作業を試みる中電側と漁船で阻む島民との対立などを紹介。福島第1原発事故後の、建設計画をめぐる政府や知事発言にも触れている。

 山戸さんは同町祝島出身。85年に松江市からUターンし、島民の会の代表や町議を務めた。「反対してきた理由を島民の視点でまとめたかった」。女性たちが港に菓子を持ち寄り、世間話をしながら夜通しの監視をする様子など、反対運動の飾らない姿を描き、「地域を軸に、生活に根ざした共同作業」としている。

 四六判、193ページ。2205円。島民との座談会も掲載している。岩波書店宣伝部Tel03(5210)4100。(井上龍太郎)

(2013年9月7日朝刊掲載)

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