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被爆2世 健康不安訴え 援護措置訴訟 広島地裁で尋問

 国が被爆2世への援護措置を怠っているのは違憲として、広島への原爆投下で親が被爆した広島、山口県などの28人が1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の口頭弁論が7日、広島地裁であった。原告側の証人と原告の計5人の尋問があり、放射線被害による遺伝的影響への不安や対策の不十分さを訴えた。

 全国被爆二世団体連絡協議会の崎山昇会長(63)=長崎市=が証人として出廷。被爆2世を被爆者援護法の対象とするよう求めてきた活動に触れ「厚生労働省は拒み続け、救済しなかった。放置してきた国の姿勢は決して許されない」と指摘した。

 原告4人は、自身の甲状腺の病気などを挙げ「親の被爆の影響ではないか」と強調。偏見や差別にも直面したと明かした。広島県被爆二世団体連絡協議会の事務局長を務める角田拓さん(58)=広島市東区=は「健康への不安を常に抱えて暮らしている苦しさを理解してほしい」と求めた。

 訴状によると、日本遺伝学会の見解や各種研究で、発がんリスクの増加など遺伝的影響の可能性が指摘されていたのに、国は被爆2世に援護法を適用しなかったと指摘。国は、遺伝的影響は科学的に証明されていないとし、請求棄却を求めている。(山田英和)

(2021年12月8日朝刊掲載)

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