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広島世界平和ミッション イランの8人 広島入り ヒロシマと連携探る 第一陣が交流 6日の式典出席

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第一陣メンバーが、今年四月にイランで交流したイラン・イラク戦争の毒ガス被害者を含むイラン人八人が三日、広島入りした。六日の平和記念式典に出席するなど大量破壊兵器廃絶に向け、ヒロシマとの連携を深める。

 JR広島駅(南区)に到着した一行は、平和ミッションのメンバーが掲げる「ようこそ」とつづられたペルシャ語の横断幕に迎えられた。被害者らは、懐かしい顔を見つけると、歩み寄って抱き合っていた。

 午後には早速、広島市役所を訪問。五人の被害者の一人、皮膚科専門医のモハンマド・ナヒーさん(39)は「大量破壊兵器の廃絶へ向け、広島とイランの犠牲者がともに訴えていきたい」とあいさつ。増田学市民局長は「そのためにも、市民レベルの文化交流の方法を考えたい」と話した。

 イラン政府によると、イラクの毒ガス攻撃はイラン・イラク戦争(一九八〇―八八年)中に約三百回に上り、五千人余が死亡。現在も約四万五千人が呼吸不全や皮膚障害などの後遺症に苦しんでいる。

 被爆者を含む平和ミッションのメンバー五人は、市民を狙う攻撃では最大規模の被害を八七年に受けたサルダシュト市で、互いのつらい経験を話す集会などを開いた。

 これがきっかけで、イラン側が温め続けていた広島への訪問計画が持ち上がった。ミッション参加者や海外への医療支援をしている広島市内の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」が受け入れ準備を進めて実現した。

 一行は八日まで広島に滞在。旧日本軍の毒ガス製造工場があった竹原市の大久野島への訪問や、被爆者との交流をする。

(2004年8月4日朝刊掲載)

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