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被爆3世「多くの人が根拠ない差別に苦しんだ」 印でヒロシマ語る

 市民グループ「インドチャイ倶楽部(くらぶ)ひろしま」(広島県海田町)が、インドの首都ニューデリーを訪れ、現地の高校生や教員研修生たち約40人と交流した。原爆の被害や、原発事故について意見を交換した。(二井理江)

 日本から訪れた8人が参加した交流会は、ニューデリー中心部にある「国際交流基金ニューデリー日本文化センター」で開催。被爆3世の小学校教諭千崎絵美さん(28)=広島市中区=が、祖母が被爆した様子や戦後の生活、自身が勤める牛田小(東区)での平和教育について、写真などを見せながら話した。

 千崎さんの祖母は当時26歳。陸軍被服支廠(ししょう)(南区、爆心地から約2・7キロ)で勤務中に被爆した。戦後、当時2歳だった娘(伯母)を連れて広島県北の芸北町(現北広島町)の親戚宅に身を寄せたものの、娘は、嫁いできていた女性から「原爆の子」「ヒロシマの子」と言われ続けた、という。

 「多くの人が根拠のない差別に苦しんだ。差別されるから被爆体験を隠す。これは大きな問題だと感じた」と千崎さん。「さらに、原爆を思い出すと恐ろしくて話せない被爆者もいる。だからこそ、私たちは起きた事実をありのままに受け止め、学び続ける必要がある」と強調した。

 現地の参加者からは「今も放射線の影響はあるのか」「被爆3世への差別はあるか」「福島原発事故をどう思うか」といった質問が出た。千崎さんや同倶楽部代表のジェームス・ジョーセフさん(56)はそれぞれ「誰にも分からない」「今は差別はない」「原発は戦争の道具ではないが、被曝(ひばく)したことはいけない」などと答えた。

 交流会ではこのほか、2歳で被爆し、12歳で白血病を発病して亡くなった佐々木禎子さんをモチーフにしたアニメ「つるにのって とも子の冒険」を観賞したり、こうの史代さんの漫画「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」の複製原画展を見たりした。

(2013年9月10日朝刊掲載)

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