×

ニュース

核廃絶へ「米と信頼関係」 岸田首相 首脳会談へ意欲

 岸田文雄首相(広島1区)は14日の衆院予算委員会で、早期実現に意欲を見せる米バイデン大統領との日米首脳会談で、ライフワークとする核兵器廃絶を取り上げる意向を明らかにした。「核兵器のない世界を目指す観点から信頼関係をしっかりつくり、そこからさまざまな取り組みをスタートさせていきたい」と、首脳会談をてこに核軍縮の機運を高めたい考えだ。(樋口浩二、桑原正敏)

 民主党政権下で外相を務めた立憲民主党の岡田克也氏に答弁した。核軍縮を訴える岡田氏に「敬意を表する」とした上で、核兵器廃絶の道筋として唯一の同盟国である米国と信頼関係を築いた後、核兵器の①数②役割③使用リスク―を低減させる取り組みを実行に移すプロセスを重んじる立場を鮮明にした。

 足掛かりとして首脳会談が鍵になると指摘。オバマ政権の理念を引き継ぐバイデン氏が昨夏の大統領選挙中に「核兵器のない世界を目指す」と明言した点に触れ、日米の首脳で意思を共有したい考えを強調した。

 その上で、来年1月4~28日に米国で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に関し、自らが外相だった15年の前回会議で交渉が決裂した経緯を踏まえ「成功に向け、わが国としてしっかり貢献したい」と訴えた。

 一方で、核兵器禁止条約の署名・批准には改めて慎重な見解を示した。来年3月の第1回締約国会議へのオブザーバー参加については「条約は核兵器のない世界に向けての理想であり出口だが、核兵器国は一国も参加していないのが現実。バイデン政権との信頼関係なしに理想へ足を踏み出せば、現実が動かなくなる」と懸念し、「まずは米国との信頼関係から始めたい」と述べた。

(2021年12月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ