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崇徳高新聞部きらり 部員90人全国最多/紙面たたえる表彰で最優秀

年3回発行 速報も随時 現場主義がモットー

 崇徳高(広島市西区)新聞部の活躍がめざましい。約90人の部員数は全国最多。今夏、全国の高校新聞部の優れた紙面をたたえる表彰で初めて最優秀を受賞した。8月6日にあった広島市の平和記念式典で、菅義偉前首相が読み飛ばしたあいさつ原稿の原本を実際に確かめるなど現場主義がモットー。好奇心と粘り強い取材で地域の話題に迫っている。(新本恭子)

 11月中旬、同部の活動拠点である校内の図書室。腕章を着けた部員が、広島法務局の職員を囲んでいた。改正民法の施行で来年4月以降、成人年齢が18歳へ引き下げられることについて取材するために招いた。「引き下げの狙いは」「被選挙権も18歳に下げられるのか」などと次々と質問をぶつけた。

 全校生徒向けに「本紙」を年3回発行している。来年1月までに配る次回の本紙には、成人年齢引き下げの解説や、政治との向き合い方などに関する特集を組むという。

 特集には、平和記念式典で菅前首相があいさつを読み飛ばし、政府関係者が「のりが付着し、原稿がめくれなかった」と釈明した報道を検証する記事も盛り込む。広島市に情報公開請求し、10月に原本を確かめた。

 部長の2年伊藤蒼生(あおい)さん(17)は「原本にのりの痕跡はなかった。不確かなことがそのまま確からしく広められた状況について、情報の信頼性や責任を考える記事にしたい」と強調する。

 本紙以外に、タイムリーな話題を載せる速報も随時発行している。8月に発表された「全国高校新聞年間紙面審査賞」と「全国高校総合文化祭新聞部門」では、それぞれ最優秀の5校に初めて選ばれた。

 1949年設立の同部。若者の新聞離れなどを背景に2012年には部員が一時ゼロになった。しかし、顧問の花岡健吾教諭(48)の積極的な勧誘や、活発な取材活動が生徒の興味を引きつけ、部員は急増した。20年度の共学化開始とともに女子生徒の入部も相次いでいる。

 花岡教諭は「生徒に自ら動けば楽しいんだと感じてほしい。新聞部の活動は、教育現場で求められる探究的な資質を伸ばすことにつながる」と説く。

 2年立山祐名(ゆな)さん(16)は「取材相手に貴重な時間をいただき、普通ではできない経験をさせてもらっている。これからもうそのない記事を書きたい」と意気込む。

(2021年12月15日朝刊掲載)

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