×

ニュース

原発事故で尾道移住 岡本さん夫妻 食堂の夢 避難先で成就

 福島第1原発事故後、福島県本宮市から自主避難している調理師岡本真人さん(39)、久美子さん(39)夫妻が17日、尾道市久保に洋風食堂をオープンさせる。7月に同市向島町に移住し、準備を進めてきた。「避難者たちの交流の場になれば」と願っている。(木原由維)

 2階建て延べ約50平方メートルに20席。厨房(ちゅうぼう)に立つ真人さんは「本当は福島で開きたかったが、独立の夢はかなった」。ホールを仕切る久美子さんと、メニュー板作りや食器の確認などに追われている。

 本宮市は第1原発の西約50キロにある。2011年3月下旬、2人の娘を連れ、真人さんの実家がある岩国市へ一家で避難。その後、広島市西区に住んでいたが昨年7月、初めて訪れた尾道市を気に入り、移住を決めた。

 空き店舗だった物件は、同市で被災者支援を続ける市民団体から紹介を受けて借りた。改修費は貯蓄を取り崩すなどしたという。店名は「BISOU(ビズー)」。フランス語で子ども同士がする軽いキスという意味で、親しみやすい空間にしたいとの思いを込めた。

 広島県東部の4市2町によると、現在、福島県などから計61世帯132人が避難生活を送っている。久美子さんは「これまで家族以外に相談相手がおらず不安だった。同じ思いの避難者を招いて交流会をしたい」と話している。Tel0848(38)9700。

(2013年9月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ