×

ニュース

広島世界平和ミッション 中・韓での成果報告 第二陣4人 交流や協調の必要性を訴え

 広島国際文化財団が派遣した「広島世界平和ミッション」の第二陣の報告会が二十八日、広島市中区の市女性教育センターであり、中国と韓国を旅したメンバー四人が、歴史認識をめぐる対話の旅の様子を伝え、北東アジアの友好と平和に向けて、出席した市民約六十人と話し合った。

 被爆者の福島和男さん(72)=広島市佐伯区=は「中国では先々で日本軍の残虐さをいわれた」と、原爆投下を日本の侵略戦争の結果とみる中国側の反応を紹介。そのうえで「原爆の恐ろしさをどう伝えていくか葛藤(かっとう)がある」と言い、「歴史の和解」ができていない中国や韓国に被爆の実態を伝える難しさを吐露した。

 韓国語の翻訳家、井下春子さん(72)=同市南区=は「平和のために日中韓が連携するには年月がかかると感じた。だからこそ文化交流などで輪を広げていきたい」と、民間レベルの取り組みの必要性を訴えた。

 中国出身の広島大大学院生岳迅飛さん(32)=東広島市=は、サッカーのアジア・カップで噴き出した母国の若い世代の険しい対日感情にも触れながら、「中国は成熟した国になると思うし、そう願っている。日中は領土問題もあるけれど協調しなければ」と呼び掛けた。

 メンバー最年少の東京大三年森上翔太さん(20)=廿日市市出身=は「広島で考えるのとは違う見方があることを受け止め、被爆の事実をアジアに伝えていきたい」とミッションの体験を生かす決意を示した。

 報告会は「広島世界平和ミッション」を支える市民の会(柴田幸子代表世話人)が主催した。第二陣は六月下旬から約三週間、中国の共産党関係者や学生、韓国の市民団体などと対話を重ねた。

(2004年8月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ