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連載・特集

広島世界平和ミッション フランス編―サントでの平和交流 抑止神話の壁から光

核兵器廃絶へ心一つに

 広島国際文化財団が派遣する「広島世界平和ミッション」でフランスを訪ねた第三陣メンバーは、行く先々で被爆の惨禍を伝えた。「核保有国の軍縮努力のなさが、危険な核拡散状況を生んでいる」とも訴えた。

 その声はフランス社会に深く根を張る「核抑止神話」の厚い壁の前にしばしばはね返され、メンバーからときに弱音が漏れることもあった。

 だが、希望も見いだした。訪れた中西部の小さな町サントでは、核兵器廃絶に向け真摯(しんし)に取り組む市民らと出会い、互いに交流を深めた。

 メンバーは、トーチに核廃絶を誓う火をともして、古代ローマの面影を残す市街地を地元住民と一緒に行進し、平和集会やメディアを通じてヒロシマのメッセージを伝えた。核兵器は「人類生存の敵」であることを―。(文・森田裕美 写真・田中慎二)

(2004年9月17日朝刊掲載)

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