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林外相・寺田補佐官派遣へ NPT会議 首相も出席模索

 岸田文雄首相(広島1区)は、2022年1月4~28日に米ニューヨークの国連本部である核拡散防止条約(NPT)再検討会議に林芳正外相(山口3区)と寺田稔首相補佐官(広島5区)を派遣する方針を固めた。林氏は開幕日に「核兵器なき世界」の追求を掲げる首相の意をくんだ演説をし、寺田氏は核軍縮交渉の調整を担う予定でいる。首相自らも会期中の訪米と日米首脳会談に加え、再検討会議の出席を模索する。

 5年に1度のNPT再検討会議は核保有国と非保有国が核軍縮の道筋などを議論する唯一の国際会議で、各国は閣僚や政府機関の幹部を派遣している。首相はかねて「核兵器なき世界の実現に向けた『入り口』の重要な会議だ」と訴える。

 15年の前回会議は外相として演説に立ったものの交渉は決裂。今回は岸田政権として、かつてない態勢で臨む。気脈を通じる側近を送り込み、核廃絶の理念を世界に訴えるとともに核弾頭数削減の合意を目指す。

 林氏は岸田派ナンバー2の座長を務め、広島の被爆2世の寺田氏は宏池会(現岸田派)の「ハト派」路線を築いた池田勇人元首相を義理の祖父に持つ。

 首相は「核兵器なき世界」を訴えた米オバマ政権の理念を引き継ぐバイデン大統領との首脳会談の早期実現に意欲を示し、早期の訪米を探る。関係者によると、年明けの通常国会開会との折り合いがつけば米国にとどまって再検討会議にも出席。被爆地選出の首相としての自らの思いを訴えたい考えとみられる。

 再検討会議は当初、20年4~5月に予定されたが、新型コロナウイルスの影響で3度延期されていた。(樋口浩二)

(2021年12月18日朝刊掲載)

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