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NPT会議派遣 寺田補佐官に聞く 核弾頭数削減 合意目指す

 岸田内閣で国家安全保障戦略と核軍縮・不拡散を担う寺田稔首相補佐官(広島5区)は17日、中国新聞のインタビューに応じ、2022年1月4~28日に米国で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議で「核弾頭数の削減で合意することを目指す」と語った。米国や中国など核兵器保有国の代表者と交渉を重ねて削減の意義を説き「核兵器なき世界」への歩みを進める決意を示した。(樋口浩二)

  ―今回の再検討会議でどんな成果を目標に掲げますか。
 最優先は核軍縮だ。具体的には核弾頭の数を減らす。最新の核兵器は広島原爆の100倍以上の殺傷力があるといわれる。まずはこれ以上増やさない「核凍結」で各国の一致を導き、そこから段階的に減らしていくことで合意したい。

  ―各国政府の代表者とどのような交渉をしますか。
 核兵器保有国との直接交渉が重要になる。表舞台の会議はもちろん、各国代表の滞在ホテルを訪れての個別交渉など、さまざまなアプローチをしていきたい。15年の前回会議では合意文書を採択できず、今回も失敗すればNPT体制そのものが揺らぎかねない。

  ―岸田文雄首相(広島1区)からの期待の大きさをどう感じますか。
 既に米中など複数の国と接触しており、会議開幕前に赴いて事前交渉する可能性もある。首相補佐官の任命を受けた際、首相から「ぜひ唯一の戦争被爆国として核軍縮を進めたい」と決意を聞いた。思いの強さをひしひしと感じている。

  ―広島の被爆2世として被爆者救済に力を注いできました。被爆者の思いをどう各国に届けますか。
 新型コロナウイルス禍で被爆者団体や被爆地の首長がオンライン参加にとどまるのは非常に残念だが、核兵器廃絶の願いはしっかりと届けたい。被爆2世として核兵器の悲惨さを伝えていく。

核拡散防止条約(NPT)
 1970年に発効し、191カ国・地域が加盟する。米国、ロシア、英国、フランス、中国に核兵器の保有を認める一方、核軍縮の義務を課す。5年に1度、条約の運用状況を点検する加盟国間の再検討会議を開いている。各国外交団に加え、広島、長崎の被爆者や市民団体も参加してきたが、今回は新型コロナウイルス禍で国内からのオンライン参加となる。前回2015年の会議では合意文書を採択できず、核軍縮の進展に課題を残した。

(2021年12月18日朝刊掲載)

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