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[SDGs 持続可能な開発目標] 母国ケニアへ古着安く 福山のムネネさん販売 寄付募る

 ケニア出身で福山市今津町の英会話講師エリック・ムネネさん(38)が、母国の児童養護施設などに送る古着や自転車を募っている。ケニア国内より安価に売買することで継続的な支援につなげたいといい「SDGs(持続可能な開発目標)の考えを県内に根付かせたい」と話す。

 色とりどりのジャケットやシャツ、ズボン、ランドセル…。ムネネさんが今夏から借りる同市内海町の倉庫には、昨年11月から集めた古着などが積まれている。講師を務める市内の英会話教室などで寄付を呼び掛けたところ口コミで広がり、1年間で約20トンが集まった。

 45キロ当たり5千円前後の値付けで、首都ナイロビなどの路上生活者を支援する施設や現地の古着屋に販売する。現地までの輸送費や倉庫の賃料、荷詰めのアルバイトの人件費などを差し引くと利益はほぼないが「スラムや路上で暮らす人たちに質の良い服を安く提供したい」と話す。

 2006年に留学で来日し、福山市内で学生生活や会社員生活を送る中で感じた違和感がきっかけになった。「日本では好みに合わなくなると服が簡単に捨てられ、引っ越しで不要になった自転車が放置される。もったいない」。はだしで生活したり、ぼろぼろの服を着たりしている母国の人が思い浮かんだという。

 3年前に独立し、ビジネスを通じ母国に貢献しようと昨年7月に貿易会社を立ち上げた。「寄付も考えたが、コストを考えると長く続かない。アフリカで誰もがきれいな服を着られるようにしたい」とほほ笑む。

 寄付はムネネさんの教室「グローバルイングリッシュ」で受け付ける。古着は洗濯してあり、汚れなどがないことが条件。故障品は受け付けない。ムネネさん☎090(4898)9173。(原未緒)

(2021年12月18日朝刊掲載)

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