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英訳追悼集 大学教材に 来春から使用へ 広島第一県女の遺族ら手記

 大半が原爆の犠牲になった広島県立広島第一高等女学校(現皆実高)1年生の追悼集を英訳した「Prayers for Peace(平和への祈り)」が来年春、大学生向けの英語教材になる。南雲堂(東京)から出版される。

 B5判、87ページ。1945年8月6日、現在の広島市中区小網町一帯で、建物疎開作業に出ていて全滅した1年生223人をしのび、遺族や、郊外の臨時教室にいて助かった同級生ら19人の手記の英訳などで構成する。「生き残った者は重い運命を引きずって生きてきた」「まさか今生の別れになることを誰が予知したであろう」などとつづっている。

 追悼集は、原爆投下時に1年生で、生き残った人たちでつくる有朋会45期追悼の会の宍戸和子代表(81)=中区=らの呼び掛けで、2007年に日本語で出版された。

 英語版は、大学の英語教科書の執筆を手掛ける大賀リエさん(78)=東京都=が、宍戸さんの依頼で、英訳編集の責任者を務めた。小中学生時代に1年半ほど三次市や広島市に住んでいた縁もあり、ボランティアで協力。昨年12月に亡くなった広島市出身の漫画家、中沢啓治さんが被爆体験を基に描いた代表作「はだしのゲン」の英訳も手掛けた東京在住の米国人アラン・グリースンさんらも加わり、12年に完成した。

 大学の英語教材は、宍戸さんたちが「若い人に原爆について知ってもらい、放射線の怖さを英語で世界中に伝えられるようになってほしい」と、英語教材を多数手掛ける南雲堂に話を持ち掛けたのが出版のきっかけ。レイアウトは見直す。ほぼ全ての手記を収録した英語の朗読CDも付けて、販売する。

 約4千冊印刷。1900円(税別)。来年1月ごろに発行。新学期の4月から使ってもらうよう、全国の大学に呼び掛ける。(増田咲子)

(2013年9月16日朝刊掲載)

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