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戦争や高度成長 旧新南陽の昭和 郷土史会 住民の原稿書籍化

 周南市の新南陽郷土史会(約40人)は、昭和期の旧新南陽市の思い出や体験をまとめた書籍「ふるさとの記憶~昭和~」を発行した。上下2冊で、地域住民たち約30人が寄せた83編を戦中戦後や産業、伝統文化、暮らしなどのテーマに分けて紹介している。

 上巻(128ページ)は序章など5章、下巻(100ページ)は年表を含む5章の計10章で構成する。第2章の「戦中戦後の辛(つら)い体験と我慢の生活」では、戦後、旧満州(中国東北部)から地元に引き揚げてきた体験記や、戦中と戦後の地域の変化をつづった文章などが載る。

 第6章「暮らしの今とむかし」では、くみ取り式から洋式へと変わるトイレ事情を紹介した。川崎観音堂など名所のカラー写真を随所に配し、オリジナルの地図も多用した。

 令和期に入り、昭和が遠のく中、戦争や敗戦、高度経済成長など激動の時代を若い人に伝える目的で、2019年に発行を決めた。郷土史会の7人が編集委員となり地域住民に原稿を募り、今年11月に完成させた。

 松本俶博(よしひろ)会長(77)は「戦前を知る人がまだ残っている今こそ、最後のチャンスと考えた。読めば、大きな歴史の中で個人がどう生きてきたか感じ取れるはず。読者も自分の過去を見つめ直す機会にしてほしい」と話す。

 上下ともA4判で千セットを作った。地域の小中高校や図書館に寄贈するほか、希望者には1部900円で販売する。松本さん☎0834(62)1167。(中井幹夫)

(2021年12月21日朝刊掲載)

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