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ヒロシマの鶴に復興の願い乗せ 陸前高田のイベントで披露 

 平和の願いとともに原爆の子の像(広島市中区)に国内外から寄せられた折り鶴が再活用され、東日本大震災の被災地で復興の願いを乗せて羽ばたく。岩手県陸前高田市で22日に初めて開かれる「東北復興祭2013in陸前高田」で、約9千羽の折り鶴が披露される。(増田咲子)

 復興祭の発起人、根本ミカさん(31)=陸前高田市=ら実行委員会のメンバーが、折り鶴の再生紙を知ったのがきっかけ。「折り鶴に託された平和への祈りを被災地でつなぎ、復興のシンボルにしたい」と考えた。

 折り鶴の再生紙(20センチ四方)は当初、紙卸会社の木野川紙業(広島市西区)から購入した。同社は、収益の一部を広島市の平和推進事業に寄付するプロジェクトとして、再生紙を販売している。しかしその後、復興祭の趣旨を聞いて、7200枚は無償提供した。

 実行委は7月から、陸前高田市内の学校や宿泊施設などに再生紙を置いてもらい、折り鶴作りを呼び掛けた。インターネットの交流サイト、フェイスブックを通して東京、鳥取、大阪などにも輪が広がり、今までに再生紙で折った約7千羽が集まっているという。

 折り鶴は、「慰霊と復興、平和の祈りをのせて」をテーマに、陸前高田市立高田小の体育館に展示する。来場者が、再生紙を使って自由に鶴が折れるスペースも設ける。

 復興支援のため現地で暮らしている実行委事務局長の牟田麻起子さん(28)=大阪府豊中市=は「折り鶴に込められた世界中からの平和への願いを被災地の復興に向けた力に変えたい」と話している。

 折り鶴は、復興祭が終わった後、陸前高田市内の市営の震災犠牲者の追悼施設などにささげる。

 陸前高田市は、東日本大震災の津波で民家など3159戸が全壊。1750人が亡くなった。行方不明者は6人。人口は、震災前の2万4千人余が約2万600人に減った。

原爆の子の像(広島市中区)に寄せられた折り鶴の活用策
 広島市は2012年5月から、それまでの保存方針を転換し、原爆の子の像に寄せられた折り鶴(年約10トン)の活用策として、希望する市民らへの配布を始めた。今年8月末までに、広島県内をはじめ、国内外の延べ112の個人・団体に約3100万羽(約27トン)を配った。うち海外は米国、英国、カナダ、イタリアの6団体。活用例は、平和行事での展示や、折り鶴を使ったアートの作製など幅広い。

(2013年9月16日朝刊掲載)

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