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地上イージス 混乱陳謝 防衛省、萩などで住民説明会開始 断念から1年半「慎重さ、誠実さ欠いた」

 防衛省は21日、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画の断念について、候補地だった萩市などで地元住民向けの説明会を始めた。「慎重さ、誠実さを欠いた」と陳謝したものの、断念から1年半がたち、待ちわびた参加者からは不満の声が漏れた。(中川晃平、東聡海)

 候補地だった陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、山口県阿武町)の近くであった説明会には約30人が参加した。中国四国防衛局の今給黎(いまきゅうれい)学局長が「さまざまなご心配をお掛けした。防衛省を代表しておわび申し上げる」と頭を下げた。新型コロナウイルスの流行で時期が延びたと釈明し、配備決定から断念までの経緯をまとめた2020年9月公表の資料を読み上げた。

 会場からは、過去の資料を使って説明する姿勢に対する不満や、不安な日々を強いられたことに再度の謝罪を求める声が上がった。演習場近くに住む吉岡之憲さん(70)は「二度と配備の計画がされないようにしてほしい」と求めた。計画の撤回を求める住民の会の森上雅昭代表(69)は「配備されないと直接聞けた。大きな区切りとなった」と話した。

 この日は萩市議会にも説明した。地上イージスの代替となる「イージス・システム搭載艦」を同市沖に停泊させるか問われると、担当者は「情勢に応じて柔軟に展開する。特定の海域は想定していない」と答えた。森上代表は「新たな不安が生まれた。今後も説明を求めていく」と力を込めた。

 政府は17年、ミサイル防衛強化のため導入を決め、山口、秋田両県を候補地に選んだ。20年6月、迎撃ミサイルの推進補助装置「ブースター」を確実に演習場内に落とせない欠陥が判明したとして、当時の河野太郎防衛相が計画の停止を発表した。村岡嗣政知事たちは地元への説明責任を果たすよう求めていた。

(2021年12月22日朝刊掲載)

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