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広島世界平和ミッション 中国人初の直接手続き 健康管理手当申請 広島で被爆の王さん

 広島高師(現広島大)に留学中に被爆した中国南京市の王大文さん(79)が五日、被爆者援護法に基づく健康管理手当を申請するため広島市を訪れた。政府は、海外にいても日本の被爆者と同じように昨年から各種手当の支給を始めたが、本人の来日を前提としている。中国人被爆者が広島市で直接手続きに入ったのは初めてとなる。

 王さんは爆心地一・五キロの校舎で被爆し、一九五二年に帰国して教師の道を歩んだ。八一年、当時の広島県議会日中友好議員連盟の招きで元留学生仲間と再訪し、被爆者健康手帳を取得した。

 在外被爆者への支援が始まったことは、広島国際文化財団が六月、中国へ派遣した「広島世界平和ミッション」の第二陣から伝えられ、財団も協力して来日がかなった。

 この日、第二陣メンバーだった広島市南区の書家井下春子さん(72)の案内で市原爆被害対策部を訪れ、二十三年ぶりに手帳を切り替えた。王さんは「中国では原爆症という言葉も知られていない。広島で入院検査し、安心して暮らしていきたい」と日本語で話した。

 在外被爆者で手当を受け取っているのは現在、千七百十四人。現地の被爆者団体を通じて事業の存在を知る韓国や米国、ブラジルが占めている。

(2004年10月6日朝刊掲載)

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